ハゲのメカニズムは複雑
 男性型脱毛症の原因には、先天的原因として遺伝、加齢、男性ホルモンの三大原因
が挙げられます。これに次のような生活習慣などの後天的原因が加わることにより、
ハゲの進行が加速されることになります。
 すなわちストレス、疲労、タバコ、睡眠不足、肉食や偏食などの食事、不適切なヘ
アケア、病気や中毒がこれに相当します。

本当にハゲは遺伝するのか
 この項目は非常に気になるところです。
 毎日の頭皮マッサージ、良質の養毛剤、ヘアトニック、食事に気を使いながらも、
父・祖父は50代でハゲていたからと悩まされることも考えられます。
 ハゲの原因は各個人によって様々ですが、遺伝的な要素も考えられます。だから両
親や親戚を見てハゲの家系であれば、原因の一端と考えてもいいでしょう。
 ただし、例外もあります。ルイ13世はハゲでも、子供は成人しても毛髪があったり
アメリカのレスラー、スカル・マフィーなどは毛髪がなく、名前の通り頭蓋骨(スカル
)とニックネームが付くくらいの男でしたが、マネージャーの子供はフサフサの長髪
であったといわれています。だから体質遺伝説も絶対ではありません。
 次のような西洋の格言があります。「ハゲを治す唯一の方法は、ハゲのいない血統
の両親を選ぶか、またはハゲる前に死ぬことだ。」どちらも不可能なことですから、
このエスプリの効いた言い回しはハゲを治すことの難しさを言い表しているとともに、
遺伝と加齢がハゲの原因であることを端的に表現しています。
 男性にとってオシャレダンディズムは、服装・アクセサリーとともに実は男の看板
である毛髪があることが大事であり、毛髪の後退を防ぐためならばあらゆる薬・食物
も使うという涙ぐましい努力を古代から続けていたようです。

毛乳頭の脱毛指令で男はハゲる
 最近の毛髪の研究では、毛の発育・成長を制御しているのは毛乳頭(dermal papilla)
であることが明らかになってきました。正常なら毛母細胞に「毛を生えさせて、太く長
く伸びろ」と指令を出すはずの毛乳頭が、ハゲの場合は逆に、「育たずに抜けろ」とい
う指令を出しているのです。
ハゲは円形脱毛症のような自己免疫疾患ではないので、ステロイド剤は全く効果があり
ません。つまりハゲを改善するためにはあくまでも毛乳頭を中心に考えなければなりま
せん。
問題は、一体どんな場合に毛乳頭に脱毛の指令を出すのかということですが、その引き
金が以前よりいわれている男性ホルモンだという事実があります。

ハゲは男性ホルモンと関係があるのか

 男性ホルモンの作用機序については、次のようなメカニズムが考えられています。
血液中の主な男性ホルモンであるテストステロン(testosterone)は毛乳頭あるいは皮
脂腺の標的細胞に入ると、細胞核膜に存在する5α−リダクターゼによって、より生理
作用の強い5α−ジヒドロテストステロン(5α−dihydrotestosterone、5α−DH
T)に代謝されます。そして5α−ジヒドロテストステロンは細胞核内に局在する男性
ホルモン受容体と結合し、複合体を作り活性化され、DNAの特定部位を介して情報を
発現することになります。その情報が毛乳頭から発すれば、毛母細胞の活動を抑制する
ことになり、発毛が抑制され、細く弱々しい毛、すなわち軟毛化現象を経由し、ハゲへ
と進行します。
一方情報が皮脂腺から発すれば、皮脂の分泌が過剰となり、ハゲをさらに促進させるこ
とになります(脂漏性脱毛症)(図5、24ページ)。
皮脂分泌が過剰になると毛穴が塞がり、毛根が酸欠状態となり、L−システインから毛
の主成分であるL−シスチンへの変化が妨げられ、毛の硬化が抑制されることとなりま
す。
また皮脂過剰は細菌やほこりがこびりつきやすくなり、細菌が繁殖し、頭皮の炎症を起
こし、毛母の活動が抑制されます。さらに皮脂は空気や光で酸化され、脂肪酸に変化し、
これが毒素の働きをして頭皮の炎症の原因となります。頭皮の炎症は血流不全を起こし、
悪循環に陥り、ますますハゲを促進させることになるわけです。
現実問題として、毛穴に皮脂がこびりつくと、育毛剤をつけても、毛根に届かないわけ
ですから、せっかくの治療も無駄になります。
いかに皮脂分泌を抑え、毛穴の皮脂のこびりつきを取り除くか、これが脂漏性脱毛症を
克服するポイントになるといえます。男性ホルモンが多く作用する人、ヒゲや胸毛が濃
くいかにも精力的な人にハゲが多いのはこういうわけなのです。そして、こうした男性
ホルモンに対する感受性は遺伝子によってその要素が伝えられるといいます。

ハゲのタイプと進行度

 ハゲの初期症状は、まず抜け毛の本数が増えることから始まります。第一章で説明し
ましたように、自然脱毛すなわち毎日抜ける休止期の毛数はだいたい70〜100本ですが
ハゲの方では100本以上抜けるようになります。早い人では10代後半から、前頭部の生
え際あるいは頭頂部からハゲが始まります。
また軟毛化現象といって、細くコシの弱い軟毛へと衰弱していきます。そのほかに頭皮の
硬化・頭皮の低温化・血流不足を伴います。
ハゲはじめる部位は必ず前頭部あるいは頭頂部からと決まっています。その理由は、前
頭部と頭頂部は女性ホルモンの支配域であり、男性ホルモンに対して敏感に反応するの
です。一方、側頭部と後頭部は甲状腺ホルモンによる支配のため、男性ホルモンによる
悪影響を受けにくいという特性があるためです。
以上より、男性のハゲるパターンは図6のように分類することができます。すなわち前
頭部の生え際からハゲるM型タイプ(そり込みタイプのハゲ)、あるいは頭頂部からハ
ゲるO型タイプ (テッペンハゲ)、いずれも進行すると前頭部と頭頂部のハゲが合併する
A型、さらに側頭部と後頭部にのみ毛髪が残っているC型タイプへと進んでいきます。
前頭部と頭頂部がともにツルツルにハゲ上がっても、側頭部や後頭部には毛が残ってい
る人がこれに相当し、ハゲの典型症状とされています。


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