| 毛髪の歴史 西洋にみる毛髪の神秘性 植毛と直接に関連はありませんが、本書を読了される前の息つぎとして読んでください。 もともと古代から魔女(ウイッチ、witch)のまじないとか、魔除けに使用したことから 毛髪は人々の霊魂の一部が宿っていると考えられてきました。 魔人ユフィール ユフィール(Uphir)という魔神がフランス土俗神話にでてきます。これは薬の知識家 でもあり、地獄での医者ともいわれていました。 フランスのヘアトニックブランドにもUphirがあり、昔からユフィールにはあらゆる肉 体的欠点を治し、ハゲも治すだろうと思われたので、ユフィールブランドのヘアトニック をつければ、毛髪の再生力もあるだろうと信じられていました。 実はその頃のフランス人は(一七〇〇年頃)風呂嫌いで、滅多にシャンプーもしなかっ たし、単なるかゆみ止めではないかと考えられます。 かみのけ座(別名『ベレニスの髪』) ギリシャでは結婚をする男女がお互いの毛髪を髪に捧げるという風習が、5世紀頃まで 残っていました。B.C.二四七年エジプト プトレマイオス?世はシリア遠征の時、王妃が 自分の毛髪をアプロディテに捧げたことから毛髪は神格化され、天空図にも『かみのけ 座』、別名『ベレニスの髪』として有名です。(天空図のしし座の上にある南側の微光 星集団で、一六〇一年発見)。 男も女も毛髪は神聖なものとして考え、現在でもイギリス聖公会の信者は聖木曜日を 毛髪を整える日として考えているくらいです。 旧約聖書の英雄サムソン 旧約聖書にある英雄サムソンは、毛髪を切られたことパワーの能力が削がれ、囚人と して獄につながれますが、毛髪が伸びたとき再度力を発揮して異教徒に勝利する話があ ります。この話からも、古代から毛髪は力の源と思われていました。 若ハゲだったヒポクラテス ヒポクラテスという医者・哲学者は若ハゲであり、ハゲは炎症を起こしやすい体質であ り、血漿が性欲によって激しく熱せられ表皮に達して毛根が枯れるという説を唱えまし た。男性生殖能力が強ければハゲになりやすいと公言したことを驚くことなかれ、平成 の時代でも信じる人はいます。 イスラム教でのハゲ 日本人はハゲに対して劣等感があり、涙ぐましい努力をしていますが、イスラム教で は『なるようにしかならない』つまりハゲるのもアツラー(アラー)の決めたことであ り、もうくよくよしない。これは一つの心理でもあり、ストレスをためない生活の知恵 ではないでしょうか。 日本にみる毛髪の神秘性 坊主が毛髪を剃ること 日本仏教界でも現在は有髪を認める傾向にあると聞きますが、もともと僧侶は毛髪を 剃ることが大前提でありました。初期仏教において、毛髪はある種のトーテミズムの対 象であり、神が宿り、その毛髪を仏前に捧げることが重要でありました。毛髪には魔力 が宿り、欲望をシンボライズしたものであったのです。すなわち毛髪は仏教世界と俗世 との結界を示したものであります。 インドに発生した仏教は、水浴の習慣(マンデー)がなく、衛生面にをおいても毛髪 を剃ることは理にかなったものであり、その影響でミャンマー・スリランカ・タイでは 必ず毛髪を剃ります。 いま日本ではハゲが急増中 いま日本には、九〇〇万人程の方が薄毛・ハゲの悩みを抱えているといわれます。現 代のストレス時代は毛髪にも大きな影響を与え、成人男子の五人に一人はハゲになる可 能性があります。しかも年々若年化の傾向にあるといいます。ハゲは決して珍しいこと ではないのです。 外国ではハゲを隠さず、堂々評価される傾向があります。ショーン・コネリ、シャル ル・ボワイエ(フランスの著名俳優)、ユル・ブリナーなどはもともとカツラも利用し ましたが、ハゲであります。しかし日本では「男は外見じゃない。仕事の中身、人間性 が大事」などといってみても、一方で第一印象が肝心などという声も聞こえてきます。 やっぱり気になる頭のてっぺん。毎朝鏡の前で抜けた、抜けないと一喜一憂している男 性諸氏も案外多いものです。自分の頭を鏡に映すたびに、「あぁ、また髪の毛が薄くな っちゃった」と嘆いている人に朗報ともいえる治療があります。それは自分の毛を植え 替え、ハゲた部分に毛髪を復活させる『単一毛根移植』というハゲ治療です。この治療 は人工的な増毛ではなく、毛の隙間に静電気を利用した黒い微小な繊維を吹き付けるの でもなく、ましてや別の項で述べますがカツラでもありません。もっと積極的な解決方 法なのです。日本でも、ハゲに対する単一毛根移植の需要は急速に増えており、世界的 傾向にあります。 『単一毛根移植』とは聞き慣れない名前かもしれませんが、これについては週刊誌で も時々取り上げられています。それによると、ハゲに悩むアメリカ人の間で流行してい るのはカツラや増毛ではなく、単一毛根移植であり、これこそが究極のハゲ治療として 受け入れられているとの報道です。すでに全米では、単一毛根移植がカツラの売上を超 え、10万人以上が手術を受けているといわれています。 日本でも最近、植毛先進国のアメリカにわざわざ渡航する治療ツアーがあると聞いて います。コミュニケーションのとりにくいアメリカで高価な植毛費用を支払い(約二〇 〇万円)、施術してもらう費用と時間を考えた場合、決心することも大変なことです( 梅橋幸雄、カリフォルニア毛髪革命、双葉社より)。日本の医療の繊細な技術・知識は アメリカに劣らず高水準ですから、安心して日本のクリニックで毛根移植を受けていた だきたいと思います。ヘアケアは、身近な信頼できる技術をもったドクターが近くにい ることが大切なのです。何度もアメリカに行き、ヘアケアについて質問したりすること は現実には無理でしょう。
![]() 毛髪、毛根、頭皮の構造 人間の毛髪は約10万本ありますが、まず毛髪の構造について説明しましょう。図1の ように毛髪は頭皮表面に現れている部分を毛幹(hair shaft)と呼び、頭皮の中に隠れ ている部分を毛根(hair root)と呼びます。毛根の底部は膨れており(毛球hair bulb) 、ここには毛をつくりだす毛母(hair matrix)があります。毛根を包み込んでいる頭 皮を毛包(hair follicle毛根鞘)といい、毛球部において毛と接着しています。特に毛 母と接し、真皮の毛細血管や神経からなる結合組織を毛乳頭(dermal papilla)といい 毛母細胞を活性化させる指令を出して栄養を補給しています。この毛乳頭と毛母との関 係が発毛メカニズムの鍵を握るとされています。 毛包の頭皮表面近くに開口している皮脂腺は皮脂(頭皮の油分)を分泌しており、そ の活動状態がハゲに影響を及ぼしています。 毛の表面は毛小皮(キューティクル cuticle)に被われ、内側に毛皮質があります。 キューティクルは毛の根本から先端に向けて屋根瓦状に配列しています。そのため毛の 根本から先端に向けてはクシがよく通りますが、反対方向には抵抗があります。
『軟毛化現象』 毛は、毛髄質とメラニン色素の有無によって大きく3種類に分類されます。まず「うぶ 毛」は毛髄質もメラニン色素もありません。赤ん坊が母親の胎内にいる頃は全身がこの うぶ毛で覆われているわけですが、出産後「軟毛」に変わってきます。この軟毛には毛 髄質がありますが、メラニン色素が少なく、頼りない色をしているのが特徴です。 乳児→幼児→学童期→思春期と成長とともにメラニン色素が増え、つややかで腰のあ る「硬毛」に変わってきます。思春期を過ぎ、体の衰えとともに毛髪も老化をおこし、 「硬毛」から「軟毛」さらには「うぶ毛」へと逆コースをたどります。この現象は「軟 毛化現象」と呼ばれ、男性型脱毛症の特徴とされています。 毛皮質にはメラニン色素が存在し、毛の色を決定しています。すなわち多量のメラニン 色素を含む毛髪は黒髪になり、色素を失うと白髪となります。最内側は太い毛の毛根部 にのみ出現する毛髄質があります。 毛髪はケラチン(keratin)というタンパク質からなりますが、これは主としてL−シ スチンというアミノ酸からつくられています。 毛髪の伸びる速度は1日平均0.3〜0.4mm程度です。加齢とともに毛髪の成長速度は 遅くなります。また毛髪の成長速度は夏にやや増加します。 毛には硬毛と軟毛があります。硬毛は毛髪、眉毛、恥毛、睫毛、髭などであり、軟毛 は全身に生えている柔らかい毛です。なおハゲでは、硬毛が軟毛に変わる軟毛化現象を おこします。 毛周期(ヘアサイクル hair cycle) ここではなぜ毛髪は抜けてしまうのか、その一般常識について説明いたしましょう。 誰でも1日に70〜100本の毛髪が抜けます。これを自然脱毛といって、髪の寿命が来て 脱毛するものです。
毛髪には寿命があり、生えた毛が抜け落ち、その毛穴からまた新たに毛が生えてくると いう周期をもっています。これが毛周期(ヘアサイクル hair cycle)であり、ちょうど草 木が春に芽吹き、夏に生い茂り、秋に落葉しはじめ、冬に枯れ、また春には再び芽吹く のに似ています。1本の毛髪の寿命は2〜7年といわれ、女性のほうが男性より長く、ま た生え際の方が寿命が短いといわれています。また個人差も大きく、最も長いのは25年 の寿命があるともいわれています。 毛髪が伸びる時期を成長期(アナゲン期 anagen stage)、伸びなくなった時期を退行期 (カタゲン期 catagen stage)、抜け毛となり毛髪の生えていない時期を休止期(テロゲン 期 telogen stage)といい、成長期→退行期→休止期→成長期と繰り返しています。ただ 個々の毛穴で別々に毛周期が営まれていますので、ほぼ一定の毛髪の数(約10万本)が保 たれていることになるのです。 この毛周期は次のような古典的な学説が一般に受け入れられています。 図2のように成長期では、頭皮内の奥深いところで毛髪の発生源となる毛母と毛乳頭が 一体となって活動し、毛がどんどん伸びることになります。この期間は2〜6年といわ れ、毛髪全体の90%を占めています。毛髪が伸びなくなった退行期では、頭皮内の変化 として毛母が毛乳頭から離れ、毛母細胞の細胞分裂が次第に止まるようになります。そ して毛母が毛乳頭から完全に離れ、毛包が収縮し毛髪の一生を終えることになります。 これが休止期であり、毛髪全体の10%程度が相当し、この期間3〜4ヶ月とされています 。この休止期においては毛穴がふさがり、外から頭皮をみてもハゲの状態と区別がつき ません。 この時期でも次の春の訪れを待つように、頭皮内で新たな活動が始まっています。すな わち、新しい毛母が出現し、毛乳頭を求めて下に伸びていき、一体化して新しい毛根を 作るのです。そして発毛が始まり、次の成長期を迎えることになるわけです。 このような毛周期の現象はいろいろなことで影響を受けます。重い病気をした後や女 性がお産をした後には、休止期毛(抜け毛)が増え、かなり脱毛してしまうことも多いの です。 毛母は活発に細胞分裂をしているところですから、極端な栄養障害により影響されます。 男性ホルモンは毛母に作用してその活動を抑えてしまうため、毛髪が細くなり(軟毛化現 象という)ハゲになります。甲状腺機能や副腎機能の異常も脱毛を起こすことがあります。 薬剤でも毛髪の成長や毛周期に影響するものがいろいろと知られています。例えば、抗 癌剤の多くは毛母を直接に障害してハゲになります。逆に降圧剤や免疫抑制剤は毛髪の 成長を促進して、多毛(毛深くなる)を起こすことも知られています。ちなみに、ミノ キシジル(Minoxidil)という育毛剤は降圧剤から生まれました。 |
|||||||||||||||||||||
![]() |
|||||||||||||||||||||
| 何かご要望がありましたらanesis@biyoclinic.com までご連絡ください。 この情報サイトはアネシス美容外科が管理運営しています. http://www.biyogeka.com |
|||||||||||||||||||||